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あなたはビルゲイツの試験に受かるか?
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その132

直感的な解答には疑問を

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 前問の隣り合う文字の確率問題には2つの解き方がありました。1つは余事象を使う方法、もう1つはAの文字の位置を決めてから、B、C以外の文字がくる場合を考える方法でした。
 前者の方法はコツコツとやることにより簡単に解ける問題でしたが、ダブルカウントという見落としがちな落とし穴がありました。
 後者の方法はスマートな解き方でしたが、その発想を思いつくまでがキーとなるポイントでした。

 さて、アープ社のウエブサイト納品数が1000に達したのと、当連載の完結を記念して、今度、「どう変わる インターネット社会」と題する講演会を開くことになりました。

 宇宙に1080ほど存在するとされる原子の数と比べて、その指し手が10360もある囲碁。だから永遠にコンピューターは人間には勝てないだろうとされてきた囲碁の世界で、人工知能が世界チャンピオンに4勝1 敗で勝利したのは昨年の3月ことです。

 2017年1月のダボス会議・経済フォーラムにおいて話題の中心はIoT・AI・ビッグデータによる第4次産業革命でした。
 あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」、そこで作り出される 「ビッグデータ」、「人工知能(AI)・ディープラーニング」による自己学習で完全自動化を始める機械やロボット。

 「熟したトマトを収穫せよ」とロボットに目的を与えれば、ロボットは現場に行き、熟したトマトだけを収穫して農作業は完了。
  これが「IoT」と「人工知能」を使った分かり易い例で、その実現はすぐそこまで来ています。すなわち、これから全く新しい職場、新しい仕事も生まれる一方で、今のままでは仕事がなくなるという職場もたくさん出てくるということです。
 「銀行の支店もそのうち無くなる」とは、麻生財務大臣がフィンテック・サミットで語った言葉です。

 100年に一度あるかどうかという激変の時代が、まさに始まろうとしており、立場によっては、日本産業や各企業、あるいは各個人にとってのビッグチャンスでもあり、一方、心しておかなければならないことでもあります。 
 スマホがこの世に出て、たった6年目の2013年、昼間の電車の中ですでに10人に9人までがスマホを操作していました。
 インターネットがこの世に生まれて、たったの 20年。このような現実をみれば、これからの激変を容易に想像できると思います。

 これからの日本産業界、御社、そして皆さまのさらなる発展を心から願って、インターネット社会における今日までの詳しい経緯、ならびにこれから予想される生活変化の解説とともに、皆さまの生活や職場にも確実に大きな影響を及ぼすとされる、来たるべき激変時代をどのようにして迎え、どううまく波に乗っていけばいいのか、梶谷が各界からお墨付きをもらっている、半世紀にわたって調べあげてきた多くの偉大な先人や内外第一人者の資質や知恵を活かした地頭力も参考にしながら話を進めます。
 内容はあくまでも机上論ではなく、135枚のスライドと15本のビデオを駆使し、実例に基づくものばかりで、丁寧にご説明致します。

      
【日 時】 5月15日 講演 13:30~16:00(13:00開幕)
懇親会 17:00~(人数に制限あり)
【場 所】 中央区立日本橋公会堂 2階第4洋室
〒103-8360 中央区日本橋蛎殻町一丁目31番1号
【参 加】 無料
【対象者】 明日のインターネット社会を詳しく知りたい方 関心のある方
経営者・会社員・一般・学生
【申込み】 申込み締切り 2017年4月28日(金) 事前申込み必要・先着順
 下記までお早めにお申込みください。
 メール:kouenkai@arp-nt.co.jpまたはFAX:03-5652-3410
 会社名・お名前・Emailアドレス・電話番号・参加人数をご記入ください
 お問合せ:株式会社あーぷ TEL:03-3666-0405担当:田中正義 平日 9:00 ~ 18:00

講演会案内
講演会案内

 それでは今号の設問に入ります。

設問132

 動物のオス・メス、それぞれ生まれてくる確率は50%という前提に立って、ここにあるAとB、2つのニワトリの卵から生まれてくるヒヨコの性別を検査にかけた。検査機の精度の問題で、オスであれば90%の確率でオスと判定され、メスであれば70%の確率でメスと判定される。検査の結果、Aはオス、Bはメスと判定された。では、AとB、どちらが生まれてくるヒヨコの性別に、より高い確信を持てるか。

 まずはこの設問を見て真っ先に、以前、どこかでやったような設問に似ていると思われた方、それを思い出していただければもはや問題が解けたも同然です。
 また、それとは別に解いてしまった方も多いかもしれませんが、その似たような設問とは、その120のタクシーの色判定の問題でした。

 そこでは前提条件から、青色と緑色のタクシーがどれだけあって、その中で目撃者が識別する正誤判断の割合から、目撃者が見たタクシーの確率を出すというものでした。
 ではそれにならって、この設問も解いてみます。

 まず基礎となるオス・メスの数が大事です。前提条件としてのオス・メス、それぞれ生まれてくる確率は50%です。
 この%という数字そのものを使ってもいいのですが、具体的な数字にしてやったほうが分かり易いので、そのようにして解いてみます。
 そこでこの前提条件により、ここに100個の卵があるとしたら、50個がオスの卵で、50個がメスの卵です。

 この50個のオスの卵のうち、この検査機のもとでは90%、つまり45個が正しくオスと判定されます。するこれはまぎれもなくオスが生まれてくる卵の数です。しかし、残り5個はメスと誤った判定となります。

 一方の50個のメスの卵をこの検査機にかけると、70%の35個が正しくメスと判定されますが、残りの15個は誤ってオスと判定されます。
 こうしてこの検査機で100個の卵を判定すると、結果は45+15 =60個がオス、5+35=40個がメスと判定されるわけです。

 そこでこのオスと判定された60個の卵のうち、45個が間違いなくオスの生まれる卵ですから、その確率は、45/60=0.75 の 75%となります。つまり、Aの確率は75%。
 一方、メスの場合も同様に考えて、メスと判定された40個の卵のうち、35個が間違いなくメスの生まれる卵ですから、その確率は、35/40=0.875の87.5%となり、Bの確率は87.5%です。


 したがってBのほうが生まれてくるヒヨコの性別に、より高い確信を持てるというわけです。
 一見、90%の確率でオスと判定するほうが、70%の確率でメスと判定されるよりも信頼性が高いように思えますが、実はBで誤って判定されるオスの数が多いことから、このような結論が導かれるわけです。

 この設問の背景は、感覚的に判断すると間違え易い問題をいかに冷静に解いていかれるか、その思考力を見ようとしているものと思いますが、感覚的に解けるような問題が企業面接の場で出されるとしたら、そこに疑問を持つのが一般的ですから、まずそこも試されるところかと想います。

 それでは設問132の解答です。

正解

正解 132

 メスと判定されたBのほうに、より高い確信を持てる。前提条件により、ここに100個の卵があれば50個がオス、50個がメスの卵である。この検査機はそのオスの卵50個の90%=45個を正しくオスと判定するが、残り5個を誤ってメスとしてしまう。一方、メスの卵50個の場合、その70%=35個を正しくメスと判定するが、残りの15個は誤ってオスと判定してしまう。ここでオスと判定された45+15=60個のうち、正しくオスである卵は45個なので、オスとしての確かさである確率は45/60=75 で75%と出る。同様にメスと判定された5+35=40個のうち、正しくメスである卵は35個なので、その確かさの確率は35/40=0.875で87.5%。したがってメスと判定されたBのほうに、より高い確信が持てる。

 次も愛読者が知らせてくれた問題です。実社会での考え方、見方を試す良い問題だと思いますのでやってみてください。

問題 設問 133

 ある人が8元で鶏を1羽仕入れ、一旦9元で売りましたが、10元で買い戻し、再び11元で売りました。いくら儲けたでしょうか?

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 ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。
 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。

執筆者紹介


執筆者 梶谷通稔
(かじたに みちとし)

テレビ出演と取材(NHKクローズアップ現代、フジテレビ、テレビ朝日、スカパー)

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