![]()  | 
    |
![]()  | 
        
その88  | 
          方程式を使わなくても、あざやかな解答がある  | 
            
  | 
        ||||||
|    数学の世界、1/2+1/3+1/9=17/18という数と17/2+17/3+17/9=(17x17)/18という数、これら2つの数を足せば17になるということから、うまく作られた問題が前問87でした。 数学者という言葉でヒントを得て、小学校で習う最小公倍数にいかに早く気付くか、さらには余りを使えば解決できるとの数学的な考えに至るかどうかを見ようとしていたのが、その出題背景でした。 それでは、今号の設問はいかがでしょうか。 
  | 
          
![]()  | 
            
|  
           この設問を見て、あなたはどんなことを感じましたか。それは、方程式を使うな、という点に対してですが、方程式を使ってはならないということは裏を返すと、方程式の力を借りれば、おそらく簡単に解けるのであろうということを、あなたも感じられたのではないかと思います。 しかしそこには、方程式を使わなくても考え方や解き方次第で見事に正解できる方法だってあるのだから、あなたの明晰な頭脳をフルに活用して、そのスマートな解き方を見せてほしい、というそんな出題者側の要望が隠されているといったところまで、はたして感じられたでしょうか。  この連載シリーズでいつも言っていることですが、とにかく問題を注意深く読むことが肝心です。  ではこの牧羊犬の数は変わらないことを前提にして、そのスマートな解き方を見てみます。 
 その解答といえば「200匹の99%が羊ということは、羊は198匹。だから牧羊犬は2匹。牧羊犬が2匹いる牧場で、羊が何匹いればその割合が98%となるかといえば、それは98匹。よって、198匹の羊を98匹にする必要があり、結果、100匹の羊を取り除けばいい」になるはずです。 
  もう1つは、牧羊犬に主点を置き、羊の具体的な数を云々することなく解く方法です。  いかがでしょうか。いずれの解答も言葉だけでうまく解答できますが、スマートさの点から見れば、後者のほうがあざやかな解答に思えます。  では、方程式を使った場合はどうなるかを見てみます。 
 前者2つの言葉による解答と比べていかがでしょうか。方程式だけの解答は、何だか牧歌的な雰囲気が損なわれて殺伐とした数字だけの無機の世界に入って行く感じですね。前者は自然を感じさせながら、子供にも温かな雰囲気で説明できる方法です。  実はこの設問は、羊と犬という対象を他のいろいろなものに変えて、マイクロソフトで何回も出題されている問題なのです。 つまりこの出題背景は、日常自然に起こり得ることを、方程式を使わなくても言葉だけで、どれだけ早くすっきりと子供にもわかるようなスマートな説明ができるか、また正解にいたるまでの過程はどのような論理思考によるものか、そのへんを見ようとしているのではないかと思われます。 
  ではこの解説も、このへんですっきりと終えようと思いますが、少々スペースがありますので、私がイギリス赴任中に見た牧羊犬の話をしましょう。  そんな中でたくさんの羊たちが、のんびりと草を食んでいるのですが、夕方ころになると牧場主が、散らばっている羊の群れをまとめて厩舎近くの柵の中に入れるため、牧羊犬を使うのです。 
  飼い主の合図によってさっと走り出し、ばらばらになっている羊たちを、後ろから追いあげてひとかたまりの群れにまとめあげます。このまとまりができると、こんどは群れの後ろのほうで左右扇形の線を繰り返し描きながら走って、群れを柵のほうに向って誘導していくわけです。  ちょうどいい機会なので、ここで先ごろイギリスのメディアに載った10歳の牧羊犬ジェスをご紹介しましょう。 
 その結果、今では哺乳瓶をくわえて、親のいない子羊4頭にミルクをあげる牧羊犬に育っています。 ジェスは牧場に放たれているこの親なし子羊4頭を見つけ出し、雨の日も風の日も毎日欠かさず、1日3回ミルクをやっているそうです。こんなところからも、牧羊犬の賢さがよくわかりますね。そのミルクを飲ませている様子は、動画の http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=k_Jzb0yWdcUで見られます。 それでは設問88の解答です。  | 
      
 
  | 
          
では、その出題背景を考えながら、次の設問を考えてみてください。  | 
          
              
  | 
          
| 前号へ | 次号へ | 
|  ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult 
            of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most 
            creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。  | 
        
執筆者紹介

どう変わる インターネット社会 あなたやお子さんの職場は大丈夫かテレビ出演と取材(NHKクローズアップ現代、フジテレビ、テレビ朝日、スカパー)

出版

2009年 『成功者の地頭力パズル・あなたはビルゲイツの試験に受かるか』 (日経BP社)(2020年の大学入試改革に一石を投じる)連載
(CSK/SEGAの全国株主誌)新聞、雑誌インタビュー 多数
※この連載記事の著作権は、執筆者および株式会社あーぷに帰属しています。無断転載コピーはおやめください